【社労士が解説】新型コロナウィルス感染症と業務災害について

労災保険は、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、傷害、死亡等に対して迅速・公正に保護をするため必要な保険給付を行うことを目的としています。

『業務災害』とは、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあることに通常伴う危険が現実化したために起きた『災害』ということができます。

さらに、長引く新型コロナウイルス感染症の影響から、毎日会社へ出勤し、1日8時間勤務を週5日という決まった形ではなく、三密を防ぐべく、フレックスタイム制や在宅勤務などを取り入れる企業が増える中、コロナ禍によって一部休業を余儀なくされたり、時間を短縮して稼働するなどの状況に陥っている企業も出ています。

『業務上』といえるかどうかの基準は、業務との関連で発生した事故によって負傷、死亡した場合と、業務との関連で疾病に罹患した場合に分けて示されています。

■業務との関連で発生した事故の場合

業務中の事故であっても業務起因性がない場合は業務災害とはなりません。

■業務との関連で疾病に罹患した場合

労働基準法施行規則35条において、『労働基準法施行規則 別表第一の二に掲げる疾病とする。』とされております。

この別表は、この仕事をしていれば、こういう病気に罹患しても不思議ではないという病気のリストで、職業病のリストとも言えるものです。

今回の新型コロナウィルス感染症は、別表第一の二 第六号1又は5に該当する場合に 労災保険給付の対象とされています。

厚生労働省は令和2年4月28日の通達において、5の運用は、調査により感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる次のような労働環境下での業務に従事していた労働者が感染したときには、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断する。

この際、 新型コロナウィルスの潜伏期間内の業務従事状況、一般生活状況等を調査した上で、医学専門家の意見も踏まえて判断する。

(ア)複数(請求人を含む)の感染者が確認された労働環境下での業務

(イ)顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務

としています。

事業所から新型コロナウィルスに感染した労働者が発生した場合の労災の適用について、 一定の基準が示されたものと考えられます。

また、事業所から新型コロナウィルス感染者を出さないために感染防止ルールを今一度周知することも求められます。


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※文書作成日時点での法令に基づいて執筆された記事です

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