【社労士が解説】生産性向上に睡眠不足対策を考える時代

社員の睡眠不足が生産性低下に影響を及ぼしている?

人材難による労働力不足を補うため、クラウドサービスを積極的に利用して生産性向上につなげる企業が増えています。

人事労務管理の分野でも生産性向上がキーワードになっている中、『企業の睡眠負債 実態調査』というニュースリリースが目に留まりました。

これは、株式会社ニューロスペース社が、都内の会社員500名を対象に調査したもので、社員の睡眠課題が生産性低下に影響を及ぼしているという内容です。この点に企業努力が及ぶのか興味深かったので、調査結果を熟読しました。

本人が理想と考える睡眠時間と実際の睡眠時間には約1.2時間の差があり、仕事中に眠気を感じている人は約8割、そして約6割が業務効率の低下に影響していると答えています。

人事労務管理として、この問題に対処すべきかについては各社での議論が必要ですが、睡眠課題による経済損失が約15兆円(2016年11月ランド研究所調査)というデータからすると、社員が元気に生き生きと働ける状態であるべきという考え方が主流だと思います。

人事労務管理としてどんな方法がある?勤務間インターバル制度とは?

では、人事労務管理としてどんな方法があるでしょうか。睡眠時間の確保については、働き方改革関連法で努力義務とされた「勤務間インターバル制度」が最適だと考えます。

欧州では、終業から始業まで11時間のインターバル時間を確保しなければいけないという法律があるようです。例えば、残業で夜12時まで働いた場合は、翌朝の始業時間は11時としなければいけないという制度です。

日本では努力義務ですので、インターバルの時間は任意で設定できますし、必ずしも制度を導入する必要はありませんが、弊社でも労使で話合い試験的に10時間の勤務間インターバル制度を導入しました。

制度導入により、たちまち睡眠課題が解消されるわけではありませんが、無駄な残業を減らし、プライベートの時間を確保するためのきっかけ作りとしては有効と考えています。

社員の睡眠課題へのアプローチも一つの切り口に

 最近は、スペインで定着しているシエスタ(ランチ後の短時間の昼寝)を取り入れたり、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けさせる企業も出てきており、生産性の向上のために、社員の睡眠課題へのアプローチも考える時代となりつつあります。

質の良い睡眠をとるためには、個人の取り組みに委ねることも多いですが、生産性向上の一つの切り口となる可能性はありそうですね。御社でも検討されてはいかがでしょうか。

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